「鏡の男」は3つの話が複雑に絡みあう
鏡の男(上)、鏡の男(下)は、ラーシュ・ケプレルによる刑事ヨーナ・リンナシリーズの最新作。各巻のストーリーを紹介します。
上巻:ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だった……。警察は監視カメラの映像から、現場近くで犬を連れていた男の逮捕に踏み切る。強引な取調べがおこなわれるが、その男・マルティンは精神病を抱えていて供述は要領を得ない。だが、警察内で唯一マルティンを目撃者だとみなすヨーナがエリック・マリア・バルクのもとで催眠療法を試みると、途端に彼は饒舌になりある名を口にする──
下巻:捜査線上に浮かぶ謎の男、〈シエサル〉。彼はいったい何者なのか。ヨーナは公園で吊されていた遺体の頭部に小さい烙印が押されているのを発見し、過去の事件との接点を見出す。催眠で得たマルティンの謎めく目撃証言と僅かな手がかりで事件を追うヨーナだったが……。
一方、夫に証言をさせたパメラのもとに犯人からと思しき脅迫状が届き、彼女が養子に迎えようとしていたミアが誘拐されてしまう。パメラ自身にも魔手迫るなか、はたしてヨーナは少女を救うことはできるのか──人気シリーズ待望の最新作。
ジャングルジムに少女が吊るされたというセンセーショナルな猟奇殺人と連続少女誘拐事件の話、それとある夫婦に起こった娘を失った悲劇とその後に養子を迎える話と3つの話が別々に進んでいく。
上巻では猟奇殺人と少女誘拐事件この2つは何か関連ありそうだと推測できるが、もうひと一つの夫婦の起こった悲劇とその後の話はどうつながるのかもそすごく興味をそそられた。また、猟奇殺人についてはジャングルジムに少女が吊るされる時には目撃者もいるのだが犯人を特定する供述はなかなか得られずに催眠療法を使ったりなかなか的を得ずにイライラする。
しかし下巻ではこの催眠療法が事件を解決するキッカケにもなるし、どんでん返しの末物語のスケールは次第に大きくなりアクションシーンも読みごたえがある。また、誘拐された少女たちの監禁生活の話とそこからの脱出劇もハラハラするシーンもあり最後まで興奮しながら読めた。鏡の男のタイトルが物語のキーになるところも素晴らしい。
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